自分探しの旅は自分なくしの旅?最後の講義 みうらじゅん - NHKオンデマンドを観て


もし、今日が最後なら何を伝えたいか?

最近、U-NEXTにて最後の講義「みうらじゅんの幸福論」NHKオンデマンドを観ました。
サブタイトルは、「もし、今日が最後なら何を伝えたいか」でした。



わたしにとって、みうらじゅんさんは、なぜか何となく昔から気になる存在でした。
自分と同様、よく知らないけど、「みうらじゅんて何となく気になる」人は、多い気がします。(わたしだけ?)

自分の趣味を仕事にしてる人、自由人、サブカル、才能のある人、グラサン、ロン毛、ちょっと清潔感ない 笑、マイブーム、ゆるキャラ・・・

本業はイラストレーター?コラムニスト?
でも肩書きなどにとらわれず、とにかく好きにやってる感がありありで。

飄々とした佇まい、その風貌から、そもそも年齢不詳だったけど、
赤いチャンチャンコ着て登壇する姿を見て、あ、まだ還暦なんだ、と。もっと年配の印象がありました。
それだけ、貫禄というか、世を悟ったような、オーラがある。


左←はソラミミストで有名な安斎肇さん

仏教に造詣が深いというのも、これまた何となく記憶にはありましたが、仏教伝道文化賞なる賞まで表彰を受けていたとは初耳でした。
仏教伝道文化賞 | 公益財団法人仏教伝道協会 Society for the Promotion of Buddhism

とにかく、得体が知れないけれども、定期的に何かしらのブームを生みだし、ちょこちょことメディアに露出しては、淡々とおもしろおかしいことを披露し、話す・・


好きなことを突き詰めて、仕事にしている。ちょっと、うらやましい。憧れの対象、とも言える。

そんなみうら氏が、人生最後の日に何を伝えたいのか?

「みうらじゅん」という存在と、「最後に何を伝えたいか」というワードが、とても気になりました。
「幸福論」というワードも胡散臭くて、みうらじゅんさんだからこそ、逆にひっかかる。
自然と再生ボタンを押し、何となく、観始めました。

以下、ネタバレけっこう、含みます。






エピソード・トーク

世間一般のみうら像

番組の冒頭。今も開催している展覧会の紹介。
みうらじゅんフェス!マイブームの全貌展 MJ's FES in 富山 | 富山市民プラザ

ここでは、ゴムヘビ、フェロモンレコード、いやげ物、カスハガなど、みうら氏の収集物が1000点以上展示されている。



つづいてみうら氏が拍手のなか、会場に登場する。さきほど触れたとおり、赤いちゃんちゃんこを着ている。
来場者は若者が多い。場所は実践女子大学。

自虐ネタで会場の空気をなごませたのち、本題に入っていく。


  • 幸せに背を向けていたのが自分らしさ。
  • 人はいつか、黄泉の客となる。
  • 寅さんになるのが最終目標。

これが、本日の講義の主な内容らしい。

「自分に正直。周りに流されない。」インタビューを受けた来場者も、そんな印象を持ってるようすでした。


老いるショック

まず、みうら氏が、飲み屋でのエピソードを語ります。

年を取ると、飲み屋でトイレが近くなる。堂々と恥じず、おむつして飲んでる人にあやかりたい。

あー肩が痛い、なんて言ってる本人は、案外、得意げに言ってる、と。

ふつうが悩みのタネ、の子ども時代

つづいて、子どもの頃のはなし。

とくに見た目がいいわけでもない。
両親はいい人。学校も、キライじゃない。好きな先生もいた。
勉強もスポーツも特別できない。

そんな平凡な学生時代で個性を出すべく、ケロケロ新聞という学級新聞をかってに発行し、そこそこ評判も良かった、と。


中学・高校は男子高

モテないのはそのせいと、自分に言い聞かせていた。

いつもつけてた日記を母親が盗み読みしてることに気づく→読者がいると発想。
そのまま気づかないフリをして、話を盛った方がいいと、考える。
(架空の彼女との予定を想像で書くなど。)

その結果、家庭内での交流がまろやかになり、彼女できないのか?などと聞かれなくなった。

このとき、自分じゃなくても、理想の自分を日記に書いて、それに自分が近づいていけばいい、と気づいたそう。




Since

おそらく、今のみうら氏のマイブーム、「Since」。
創業年数などを表す、Sinceを審査する
シンサーとしての活動について


個性を出すには

なにひとつ個性がない自分。個性的になるためには、好き嫌いをなくすべきだと思った。
その考えに至った、いきさつについて。


仏像が、子どもの頃からマイブーム

芥川賞作家、玄侑宗久さんが、みうらさんのこの講義を、評する。
「今の日本社会が求める仏教が、みうらじゅんというかたちで出て来た。まっとうな仏教的な見解をふまえた、とてもおもしろい変奏曲だった。」



みうら氏がずっと気になってること

「自分を信じろ」「負けないで」
良く聞く言葉。
だけど、自分が信じられないから、不安だし、信じてない自分を信じるほど、辛いことはない。
だけど、
  • 自分らしさ
  • 自分かしら
  • 自分さしら
このように、言葉を置き換えると、自分らしさを追求することが、バカらしくなってくる。

なぜなら、

自分は、ない

街で見かける、「空あり」の看板。これは仏教の、真髄だと。
空(クウ・ないもの)が、ある。空(クウ・ないもの)が、ない。



もともと、人は、ない。ないところから生まれて、また、なくなる。

無から始まって、無で終わる。
空から空になる。
涅槃図のお釈迦様は、笑っている。何も、恐れることは、ない。



自分は他者にある

般若心経は、世界で一番短い経典。
街の看板から一文字ずつひろってつくった般若心経のスライドが写る。
写経は何度も繰り返すもの。
繰り返してわかったこととは、

周りがあって自分だ、と。

エヴァンゲリオンの最終回も、似た表現があったのをふと、思い出しました。

自分なくし

井上陽水の、「夢の中へ」が流れる。
探しモノはなんですか。みつけにくいモノですか。
みつからない、と悟って、それより僕と踊りませんか、と視点を変える。

一番初めに自分探しを世の中にひろめたのは、ジョージ・ハリスン
ポール、ジョンの影に隠れていた地味なジョージが個性を打ち出すため、インドに渡ってシタールを持って帰った。
以降、インドに行くバックパッカーが増えた。

自分探しは他力本願

けっきょくお金を払わないといけない。
それよりは、諦めるほうがいい。
諦めるとは、明らかにするという、仏教用語。

自分に×(バツ)をつけていく。
憧れたけど、自分にはなれないモノ。レーサー、パイロット、プロ野球選手・・・

そこで残ったモノ。みんなが、したがらないこと。
それが、自分なくし。

会場からの質問

・自分なくしって?
ボブ・ディラン、パンクは、なさけない自分を詞に書いた。
どこまでギリ自分のダメなところを表現できるかが、みうら氏にとってのロック。

・自分らしさは本当に必要ない?
自分があるとめんどくさい。自分があるから喧嘩する。
自分とは、自分のためにある自分じゃなく、他人とある自分。
他人とうまくやっていけない自分なんていらない。

他人はプラスに盛る、自分は謙遜する。

・自分に自信はある?
自分に自信はない。
こうすれば自信が持てる、などという得策はないことに気づくべき。
自信満々なときは、油断しているときだから控えめに。
自信のない時ほど、大きな声を出そう。

幸せに背を向けていたのが、自分の自分らしさ。

比較して生きているから不幸になる。
比較三原則/他人・過去の自分・親

・ずっと好きでいるには?
飽きないフリをしてるだけ。
好きなフリを貫け!

・世間の目を恐れず、表現しつづけるには?
自分のやりたいことがみつからない人が多い中、自分を貫くにはどうしたらいいか、みうら氏なりの回答。


まとめ

ラスト、わたしの走馬灯
みうら氏の愛あふれる、最高の走馬灯を、頭に焼き付けてください。
みうら氏が講義のあと色紙に書いた言葉も、心に響きます。

みなさん、どのような感想を持つかはわかりませんが、わたしは最後、感動しました。
ヘタしたら泣いてたかも・・?
わたしのように、最初はなんとなくふわーっと観てみてください!
徐々にみうらワールドに、ハマっていきますよ!繰り返し観ても、面白い!

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